健康の秘訣は「出す」こと

「出す」ことこそ、最大の自然治癒力!
私たちの体に本来備わっている最も強力な自己回復力――それは「排出する力」です。
発熱、嘔吐、下痢。これらは単なる不快な症状ではなく、体が自らを守り、回復しようとする働きです。
発熱は体が自らを癒すチャンス
風邪や肺炎、胆嚢炎などの炎症性疾患、さらにはガンや白血病、リウマチなどの自己免疫疾患まで、多くの病気には「発熱」が伴います。疲労が蓄積したときにも、熱が出ることがありますよね。
体温が1度下がると免疫力は約30%低下すると言われていますが、逆に1度上がると免疫力は4~5倍にもなると言われています。これは、発熱によって白血球の働きが活発になり、体内の病原体を攻撃する力が格段にアップするからです。「発熱」は病を癒すための大切なプロセスということがわかると思います。
ところが、現代医学ではすぐに解熱剤や抗生物質が処方され、無理に熱を下げてしまうことが一般的です。その結果、病気がぶり返したり、長引いたりすることも少なくありません。
一方、漢方医学や民間療法では、発熱を抑えるのではなく「後押し」することが基本です。たとえば、漢方の葛根湯は体を温め、発汗を促すことで治癒を助けます。また、生姜湯や卵酒など、熱を生み出しやすい飲み物をとることで、体がしっかり汗をかいて自然に熱を下げる仕組みをサポートします。
こうして自然に熱を出し切ることで、ぶり返すことなくスッキリ回復できるというわけです。ただし、熱が長引く、体力が極端に落ちるようであれば、医師の診察を受けることも必要になります。
この「発熱の治癒力」は古くから知られており、医療が発達していない地域では「熱を出すこと=治療」とされてきました。西インドでは、梅毒やガンの治療のために、あえてマラリアやチフスに感染させ、発熱によって病気を治すという方法もとられていたほどです。
嘔吐や下痢は、体が毒を排出するための大切な働き
発熱と同様に、現代では「病気」と捉えられがちなものに「嘔吐」と「下痢」があります。実はこれらも体を守るための重要な防御反応なんです。
たとえば、食中毒などで有害な物質が体内に入ると、胃液や腸液、膵液が大量に分泌され、毒素を薄めようとします。そして、体が吸収する前に素早く排出しようとするのが、嘔吐や下痢です。
しかし、ここで「止める」治療をしてしまうと、毒素が体内にとどまり、かえって深刻なダメージを引き起こすことになりかねません。実際に、嘔吐や下痢を無理に止めた結果、重篤な状態に陥るケースも少なくありません。
つまり、発熱・嘔吐・下痢は、どれも「体が自らを治そうとする働き」です。症状を抑え込むのではなく、体が自然に回復する手助けをすることが、本当の意味での健康につながるのではないでしょうか?
「出す」ことは、最高の自己治癒力です。
無理に止めず、体の声に耳を傾けてみましょう。